今日は「親不知(おやしらず)シリーズ」、3回目になります。
前回の歯医者さん事典でご説明させていただきましたように、親不知の生え方は様々。
身体が疲れた時、体調が悪い時などに、痛みや腫れを感じる方もいらしたり、抜歯をしなければいけない程の状態であったとしても、全く痛みを感じず腫れたことも無い・・・
という方もいらっしゃいます。
親不知に痛みや腫れを繰り返している方は、日頃つらい経験をされていますので、親不知の抜歯を促すとスムーズに受け入れてくださいます。
しかし、今まで痛みや腫れを経験なさっていない方は、そのつらさをご自身でわからない為に、抜歯の必要性をあまり感じていない方が少なくありません。
確かにそうなのです。
今現在、困っている訳では無いので、わざわざ辛い思いをしたくは無い・・・。
ものすごくよくわかります!!
そこで、「なぜ、痛みも腫れも無いのに親不知を抜歯しなければいけないのか?」ということについて、これからご説明させていただきますね。
前回の歯医者さん辞典では、B・C・Eの状態を放置し続けるとその手前の歯の背中に虫歯を作ってきてしまいます。
今日は、Cの状態のイラストで解説しますね。
Cの状態を放置してしまうと、オレンジ色の矢印部分にプラーク(=歯垢)など汚れが溜まります。
すると、歯肉に炎症が起きてしまいますし、親不知の背中に虫歯が出来てしまいます。
(イラスト内の黒い部分)。
この虫歯は歯の後ろ側で、親不知の隠れている部分にできているので、お口の中をパッと見ただけではわからないことが多く、ご自分では気づかないうちに虫歯が進行していきます。
ある日突然、親不知のあたりが痛くなりは医者さんへ行きレントゲンを撮ると、なんと、その痛みは親知らずでは無く、その手前にある歯が虫歯になっていたということが案外多いのです。
幸いに、痛みを生じる前に虫歯が発見できたとしても、後ろ側にできてしまった虫歯を治療するためには、虫歯になっていない部分までも削らなければ治療ができません。
そう考えると、とても残念です。
イメージをイラスト化してみます。
虫歯の治療に先立って、親不知を治療したとしても緑の線で描いた部分を削らないと虫歯を取り除くことができません。
噛む面は健康な歯質なのに、虫歯の治療のために健康な歯を削らなければならなくなってしまうのです。
さらに付け加えますと、噛む面から歯髄までの距離よりも、歯と歯肉の境目から歯髄までの距離の方が近いので、虫歯が歯髄にまで到達してしまっている場合も多いのです。
下のイラストでイメージしてみてください。
ここまでになってしまうと、痛みもかなり生じますし、神経を抜かなければならなく
なります。
神経を抜くと・・・当然、その歯の寿命は短くなります。
使わない歯のために、今後一生使っていく大切な歯が虫歯になってしまう・・・。
これが現実となったら、悔やんでも悔やみきれない思いですよね。
あとあと後悔しないためにも、是非、一生使う歯に悪さをしそうな親不知がある方は、
早目に抜くことをおすすめします。
あまり気がのらないかもしれませんが、今までお話してきたことを読んでいただくと
その意味がわかっていただけることと思います。
悪さをしそうな親不知を抜歯し、自分の大切な歯を大事にケアしていかなかったら、
それはそれで残念な結果になってしまいます。
どのように残念な結果になってしまうかについては、次回詳しくご説明させていただきますね。