あっと言う間に10月も1/3を過ぎてしまいました。
街中の木々も一気に紅葉がすすみ、色とりどりの葉が綺麗ですね。
さて、前回は虫歯になりやすい「歯の質」についてお話させていただきました。
毎日一生懸命、歯磨きをしているのに虫歯になりやすい・・・どうしてなの?という方多いですね。
「歯の質」もさることながら、お口の中の唾液中にある「虫歯菌」がどれだけ存在するかでも虫歯に
なりやすいのです。
当院では、初診時に患者さんのお口の中の状態をきちんと把握した上で治療を進めるためにも唾液検査
を実施しております。
この検査で、患者さんの唾液中にどれだけ虫歯菌が存在するのかがわかります。
菌にはミュータンス菌とラクトバチラス菌という2種類があります。
今日はまず、ミュータンス菌について説明していきたいと思います。
《ミュータンス菌》
ミュータンス菌は、虫歯のきっかけを作る菌です。この菌は口の中の砂糖などの糖分を餌として、強い酸と
プラーク(ネバネバしたグルカン)を作り、歯の表面にぴったりと付着します。
この酸は、口腔内を「酸性」の状態にもしてしまいます。
ミュータンス菌は、酸性の環境内でも充分に生き延びることができ、さらにお口の中で酸を作り出していくのです。
エナメル質の様なツルツルとした面にも付着しますので、虫歯の始まり(脱灰)を作ります。
丁寧に歯磨きをしたら、ミュータンス菌を取り除くことはできるのでは?と思ってしまいますが、なんとこの菌は
一度感染してしまうと、一生、口の中から排除することができない恐ろしい菌なのです。
ですから、当院では特に妊娠中のお母さんに、これから生まれてくるお子さんが虫歯で困らない為にも「マイナス1歳
からの虫歯予防」に力を入れていることもおわかりいただけるかと思います。
ミュータンス菌に感染し増殖する大きな要因は、
① ご両親の口腔内に大量のミュータンス菌が存在する
② 子ども(小児)が砂糖などの糖分を多く含む食べ物をたくさん食べる
③ ご両親から頻繁に、同じ箸やスプーン・フォークなどを使用して、お子さん(小児)の口へ食べものを運び入れる。
(口移しも同様です)
ミュータンス菌はネバネバしているので、歯磨きをせずに放置していると、この菌や他の細菌が集合体を作り、歯の表面に
「バイオフィルム」という膜を形成してしまいます。
バイオフィルムは、わかりやすく言うと「排水溝のヌメリ」みたいなもので、ブラッシングでプラーク(歯垢)を落とす
様に簡単に除去することはできません。
今のご自分の口の中にどれだけのミュータンス菌が存在するかは、やはり歯科医院で唾液検査を行うしかありません。
まめに歯磨きをしている割には、虫歯になることが多い方は恐らく、口の中のミュータンス菌の悪玉菌の割合が多いのかも
しれません。
虫歯で悩まれている方は一度、ご相談下さい。唾液検査でご自身の口の中に潜む虫歯になりやすい菌の存在がわかると、普
段のケアや治療方法も変わってくるはずです。
次回は、虫歯菌の「善玉菌と悪玉菌」についてお話させていただきます。
院長 佐藤 聖子