前回の記事をお読みくださった読者の方より、20数年前に神経を抜いた歯が、今現在、
残せるかどうかギリギリの瀬戸際であるという切実なお悩みをお持ちでした。
そこで、「神経を抜いた歯について知りたい!」とのご希望がありましたので、今日は
その点についてお話させていただきます。
まず、神経をとってしまうとその歯には知覚が無くなります。
神経があると、外部からの刺激が伝わるため、口にした食べ物がしみたり痛みを感じたり
という症状で知らせてくれます。
しかしながら、神経が無くなると歯に被せたり詰めたりした銀歯の境目から虫歯ができた
としても「知覚」が無いので自分自身で気づくことができません。
気づかないがために、銀歯の中で大きな虫歯になってしまうことがとても多いのです。
ある日突然、かなり昔に被せた歯の銀歯がはずれてしまい口の中を見てみると・・・
歯が殆ど無くなってしまっていた!!ということがあります。
この様な経験をされた方もいらっしゃいますよね。
銀歯の部分から歯の根の方まで虫歯の進行が進んでいる場合は、レントゲン写真でも確認
ができます。
反対に、銀歯で被われた部分で進行してしまった虫歯というのは、レントゲン写真では
確認することはできません。その為に、虫歯ができてしまっている事になおさら気づかない
ことも多いのです。
イラストをご覧下さい。
オレンジ色の部分が、銀歯とします。
レントゲン写真を撮ると、虫歯の部分は黒く見え、根の方にある虫歯はAのイラストで黒く
塗りつぶされたように見つけることができます。
実際は、Bのイラストで黒く塗りつぶしている部分まで、銀歯の中で虫歯ができているの
にもかかわらず、銀歯で隠れてしまっているためにレントゲン写真で虫歯をみつけること
ができないのが現実です。
丁度、Aのイラストの点線で示した箇所がレントゲン写真には写らない状態です。
根のある方向へできてしまった虫歯がレントゲン写真で見つけることができると、「もし
かすると、銀歯で被われているところにも虫歯ができているかもしれない」と検討がつき
ます。
銀歯で被われている部分に隠れるようにしてできてしまった虫歯は、まったく気づくこと
もなく終わってしまうことも少なくはありません。
下のイラストがその状態です。
レントゲン写真では下のイラスト様に、虫歯=黒い部分が見えないのです。
怖いですね!! ぞっとしますね!! 写真に写っていないだけで、銀歯の中ではしっかり
虫歯があるのに気づけないなんて!!
レントゲン写真を撮った結果は、虫歯が見つからなかったから大丈夫と思っていたのに、
ある日突然、銀歯がはずれ痛みも無いという場合は、上のイラストの様な状態になって
いることが多いです。
もしも、神経のある歯にこれだけの大きな虫歯ができてしまっていたら、当然ながらに
食べ物を噛んだ時にしみたり、痛みも出たりして「もしかして虫歯ができたか?」など
気づくはずなんです。
神経があれば、もっともっと早くに気づけたはずなのに・・・と神経があることの大切
さを実感せずにはいられませんね。
神経を抜いた歯については、次回に続きをお話しさせていただこうと思っています。