~歯の根の治療を途中でやめてしまったらどうなるの?~
歯の痛みが出てきて根の治療を開始したけれど、痛みが治まってきたので歯医者さんに行くのを
途中でやめてしまった・・・。
心あたりのある方、きっといらっしゃることと思います。
今日は前回のお話の続きとして、根の治療を途中でやめてしまった場合にどんなことが起こるのか
少し詳しくご説明していきいますね。
歯の根の治療は、虫歯を削り型を採って被せ物をしたり詰め物をする治療とは異なります。
炎症を起こし痛みがある間は、定期的に来院していただき根の部分の消毒や清掃、薬の交換を何度
か繰り返すことになります。
歯が新しく入った場合などと違い、大きく目に見えての変化があまりありません。
痛みがある程度落ち着いてくると、あとはゆっくりと治癒していく感じになります。
(この段階で、痛みも治まってきたし治療に行かなくてもいいかな?と自己判断で治療を途中で
やめてしまう方が多い)
例えば、体のどこかに怪我をして傷口に細菌が感染し化膿したとしたら・・・。
膿が治まったとしても、傷口が完全に治るまではやっぱり痛みが生じるものです。
歯も同じ状態であると思って下さい。
ただし、歯の根の先端は自分で見ることができないので、残念ながら治ってきてる状態を実感
することが難しいものです。
しかしながら、根の治療途中で歯医者さんへ来ることをやめてしまい放置してしまうと・・・。
歯の根の中に入れてある薬の効果と作用が無くなり、折角回復傾向にあった根の状態も再発して
しまいます。
幸いに痛みがなかったとしても、じわじわと根の周りの骨を崩壊し始めて膿の袋も更に大きくな
る場合もあります。
仮に止めていた蓋も取れてしまうと、細菌の感染リスクももっと高まります。
治療途中で来なくなった患者さんが暫くぶりにきてくださった時、歯も欠けて歯の根だけの状態
になってしまっていた・・・なんてことも本当にあるのです。
以前、歯医者さん事典のvol.5 内で、噛み合う歯が無くなると歯が噛み合う場所を求めて伸びて
くるというお話しをさせていただたのを覚えていらっしゃいますか?
このことは、歯の根だけの状態になった場合にもあてはまります。
本来噛み合う相手となる歯同士が、噛み合おうとして動いてくるわけです。
イラストをご覧下さいね。
歯の根の治療を開始した時がAの状態だったとすると、治療をせずに放置し続けると歯は噛もう
として上の方へ移動していくとともに、虫歯で脆くなって壊れていく為Bの様に骨の中にある根
の長さが短くなってしまいます。
この様に骨の中の根の長さがBのように短くなってしまうと、その上に土台を作り歯を被せるこ
とが出来なくなるのです。
そうなると、抜歯してしまうしか選択肢はなくなります。
もう少し治療を頑張って続けていたら、歯を被せることもできたのにと思うと非常に悲しいですね。
歯の根だけの状態になったとしても、十分な長さがあり根の先端の炎症も拡がっていなければ治療
をして、また新しい歯を被せることは可能です。
根の治療は長引くとは思いますが、根気強く頑張って治療を続けると歯を失うリスクからは免れる
わけですから、ここは是非とも患者さんに頑張って通っていただきたいと思います。
「歯の治療が終わるまではしっかり通って下さいね」と歯医者さんが言うのにはこの様な背景があ
るからなのをおわかりいただけたかと思います。
今まで説明させていただいたことをお読みになって、ちょっとドキっとされた方もいらっしゃるか
もしれませんが、今の状態を放置し続け本当に手遅れとなってしまう前に、勇気を出して歯医者さ
んへ行って下さいね。
Bの様な状態になっていたとしても、治療を再開させることで現在の状態を悪化させず、そして他
の歯を守ることもにもつながります。
歯の根の治療を途中でやめてしまったという方は、まずは早目に歯医者さんへ行かれることをおす
すめします!!