以前、歯医者さん事典を読んでくださっている読者の方から、こんな質問をいただきました。
「疲れた時に歯が痛くなったり浮いたような感じがするのですが、どうしてでしょうか?」
普段は痛くないのに、疲れたり風邪をひいたりすると、いつも同じ歯に症状が出るという
ことに心当たりがある方も多いと思います。
多くの方が経験したことがあると思われるのは、親不知の周囲の歯肉に炎症がある場合です。
(親不知シリーズ:過去のバックナンバー→歯医者さん事典vol.23、24、25、27)
試験勉強や残業などで寝不足のときや、風邪で体調が悪い時に親不知が痛くなったり浮いた感じ
を経験されたことがある方、いらっしゃいますよね?
親不知以外ですと、歯の根の先に膿の袋ができたり、歯の根が割れてしまったり、歯周病がひどく進行してしまった時などが考えられます。
(歯の根の先の膿の袋については→歯医者さん事典vol.13、歯の根の破折については→歯医者さん事典vol.16、歯周病については→歯医者さん事典vol.33)
親不知の歯肉の炎症・歯の根の先にできた膿の袋・歯の根の破折・歯周病のいずれにしても、どれも細菌がお口の中で繁殖することによって起こる炎症です。
元気な時は、身体の抵抗力や免疫力が充分なので、そこに細菌が住み着いていたとしても、痛みなどの症状もなく、小康状態を保っています。
疲れた時などは免疫力が低下していますので、細菌が活発に活動を始めてしまいます。
そうすると、激痛ではないけどジクジクと痛みを感じたり、浮いた感じがしたりするのです。
激痛ではないですし、その時は痛くても元気になれば痛みが治まってしまうので、放置している方がほとんどなのですが、これはお口からの危険信号のサインですので見逃して欲しくないことです。
痛みが消えたとしても治癒したわけではないので、痛みが出るたびにその歯の周囲の歯肉や骨は確実にダメージを受けているのです。
そして、ある日突然腫れて来て、激痛に襲われた!なんてことが起こってしまうこともあります。
怖いですね!
「自分にも思い当たる歯があるわ」という方は、一度、歯医者さんでしっかりと診てもらってくださいね。