前回の歯医者さん事典では、虫歯菌のひとつであるミュータンス菌が砂糖を介して酸を出し、この酸が歯のエナメル質を溶かすというお話をしました。
 
酸性になってしまったお口の中は、酸性の状態が続くと歯が溶け続けてしまうことになります。
 
そんなことにならないように、元に戻すチカラが人間の唾液には備わっています。
 
実に上手く出来ていますね!
 
この酸性になったお口の中を元に戻すチカラのことを「唾液の緩衝能」といいます。
 
お口の中が酸性になったり中性に戻ったりしている間、お口の中ではエナメル質からミネラルが溶け出したり、元に戻ったりしています。
 
絵で描くと・・・こんな感じです。
 
201511141
 
このように食事をしてお口の中が酸性になり、エナメル質からミネラル(カルシウムやリン)が溶け出したとしても、唾液のチカラによって元に戻れば、溶け出したミネラルはまたエナメル質の中に戻ります。
 
お口の中ではいつも、このように平衡状態が保たれているのです。
 
ただし、厄介なことに、この唾液の緩衝能には個人差があって、「すぐに元に戻る人」と「元に戻るまでに時間がかかる人」がいます。
 
この違いをグラフにすると、こんな感じです。
 
201511142
 
お口の中のpHが5.5以下になるとエナメル質が溶け始めます。(臨界pHといいます)
 
上のグラフを見ると、一目瞭然ですね。
 
元に戻るまでに時間がかかる人は、歯が溶けている時間が長いということになります。
 
もしも、唾液のpHが元に戻るまでに時間がかかる人がダラダラと間食をしたら、お口の中の状態はずーっと酸性のままで、歯が溶け続けることになってしまいます。
 
間食をしなかった場合のグラフと間食をした場合のグラフで見比べてみますね。
 
まずは間食をしなかった場合
 
201511143
 
次に間食をした場合
 
201511144
 
このような食生活をしていると、エナメル質が脆くなり、虫歯がどんどん進行してしまいます。
 
ぞっとします!
 
すぐに元に戻る人も、油断して間食をし続けていると・・もちろん、虫歯になりますから要注意ですよ。
 
歯医者さんで間食を控えましょうと言われるのは、実はこういう背景があるからなのです。
 
虫歯菌にエサを与えないことがとにかく大切。
 
今日お話しした唾液のチカラについては、唾液検査をすると分かります。
 
効果的に虫歯予防をしていくためにも、ご自身の唾液について一度調べてみることをオススメします。
 
当クリニックでも唾液検査を行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。