歯医者さん事典vol.51〜神経が生きるか死ぬかの瀬戸際って?〜
 
 
前回の歯医者さん事典では、麻酔をしなくても治療することができる初期段階の浅い虫歯についてのお話をしました。
 
今回は、反対に神経ギリギリまで深くなった虫歯についてのお話をします。
 
治療する前は痛みはなくても、実は虫歯が大きくなっていることが結構あります。
 
イラストにしてみます。
 
20160123
 
虫歯が大きくなり、歯髄にかなり接近していることが見てわかりますね。
 
虫歯菌に感染した歯質を取り除いていくと、歯髄ギリギリで首の皮一枚の状態となっています!
 
歯医者さん事典vol.46でお話したように器具でカリカリと慎重に虫歯の部分を取り除いて行くのですが、かなり慎重にしないと、ちょっと触っただけで歯髄が露出してしまうような状態なのです。
 
ただ、歯髄にまで到達しそうだからといって、虫歯菌に感染した歯質を残してしまったらまったく意味がないので、そこはしっかりと慎重に取り除いていかなければなりません。
 
このように本当に息を飲むほど慎重になってしまうギリギリの虫歯は、まさに神経が生きるか死ぬかの瀬戸際にあります。
 
治療が終わって麻酔が切れた時に痛みが出ることもあります。
 
神経が生き残れる状態なのであれば、その痛みは次の日には治まって来ます。
(神経のある歯なので、冷たい物に対する反応はあります)
 
次の日になってもまだズキズキして、冷たい物も熱い物もしみて、食事も出来ないような状態になってしまった場合には、残念ながら神経を取る治療をすることになります。
 
痛みが出るかもしれないけれど、わずかでも神経を残すことができる可能性があるのなら、その確率が数%であったとしても、やはりその可能性にかけたい!というのが私の思いです。
 
なぜかというと、歯医者さん事典vol.16でお話したように、神経を抜いた歯はやはり弱くなってしまうものなので。
 
歯医者さんで虫歯の治療をした時に、虫歯が深かったので、明日も痛みが治まらなかった時には神経の処置になるかも・・・と言われた時は、今お話したように神経が生きるか死ぬかの瀬戸際にある時と覚えておいていただきたいです。
 
患者さんにしてみると、痛みが出る可能性があるのは非常にイヤなことかもしれませんが・・・
その背景には、このような理由があるのだということをご理解いただけたら嬉しいです。