歯医者さん事典vol.54〜歯の根の治療をした後に出た痛みが強い場合〜
日々、診療していると・・・なぜか同じ症状の患者さんが続くことがあります。
特に最近多いのが、痛みはないけれど歯の根の先に膿の袋があり、治療を開始したら痛みが出てしまう患者さんです。
歯医者さん事典vol.49でお話したケースですね。
レントゲン写真を見ると歯の根の先に黒い影があるので、「治療をした時に痛みが出るかもしれませんよ」とあらかじめお伝えはしているのですが、その痛みがかなり強い場合もあります。
中には歯の根の先の辺りが大きく腫れて来院されることもあります。
このような症状が出た時に仮の蓋をとると、歯医者さん事典vol.49でお話したように、歯の根から膿がいっぱい出て来ます。
ひどい場合は蓋をとった瞬間に膿や血が噴き出してくることもあります。
ちょっと怖いですが、この膿を吸い出すと、患者さんご自身はかなり楽になります。
それとは逆にやっかいなのが、痛みもあり腫れているのに歯の根から膿が出てこないケースです。
傾向としては、痛みもないままに長期間かけて膿の袋ができた場合に多いのかなと思います。
その場合、しばらく痛みと腫れが続いて・・・悪い細菌と身体の白血球などが戦って、数日後に歯の根の中から膿が吹き出てきたりします。
このときの膿や出血の量は、ビックリするほどすごいです。
また、歯の根の先の膿の袋が歯肉の方に広がり、歯肉の粘膜の下に黄色い膿の袋が出来ているのが分かるようになる場合もあります。
ここまでくるとだいぶ楽になっているのですが、麻酔をして膿の袋を切ってあげるとさらに楽になって、歯肉の腫れは治まって来ます。
ちょうど水ぶくれをつぶすようなイメージです。
今回来院された患者さんもこのようなケースだったので、麻酔をして切開して膿を出そうとしたのですが、どうしてもお仕事に支障がでるということで、数日はこのまま様子をみることにしました。
引き続き、化膿止めは服用していただき、経過を見て行こうと思っています。
本音を言えば、切開してしまいたかったのですが、お仕事もありますし、こればかりは仕方が無いですね。
それでも痛みがMAXだった時に比べると、かなり楽になったとのことで安心しました。
長期間かけて出来た炎症なので・・・症状が治まるまでは時間がかかると思いますが、あきらめずに治療を継続してほしいなと思います。