歯医者さん事典vol.147〜舌の位置とお口を閉じること・・・実はとっても大切です☆〜
 
 
先日、初めて治療にいらした若い女性の患者さん。
 
 
まだとっても若いのに、なぜか上の前歯の歯肉に炎症があって赤く腫れていました。
 
 
当然、歯の表面や歯と歯肉の境目にもプラーク(歯垢)がついていて、歯肉からも
出血しやすい状態になっています。
 
 
「全体的に歯磨きが苦手な方なのかな?」
 
 
そう思いながらお口全体を見てみると、確かに前歯も奥歯も全体的に歯と歯肉の境目に
プラークがついていました。
 
 
でも・・・・ちょっとひっかるのが、付着しているプラークや歯石の量が、なぜか
歯ブラシが届きにくい奥歯よりも上の前歯の方が多かったと言うこと。
 
 
そして、それに比例して歯肉の炎症も奥歯よりも上の前歯の腫れと赤みの方が気になりました。
 
 
いろいろお口の中を診させていただき、あんなことやこんなことを考えながら、
ふと下の前歯を見てみると・・・
 
『下の前歯はわりとキレイ。』
 
 
あれっ??と思いながら、よお~く患者さんを観察していたら、気づいたことが2点ありました。
 
 
1つは・・・上の前歯が一部でこぼこになっているということ。
 
 
前から2番目の歯が後ろに引っ込んでいて、それに重なるように真ん中の前歯が少し出ている
ように並んでいます。歯肉の炎症があって、プラークが付着していたのはちょうどその辺りです。
 
 
2つ目は・・・よく見ると、少し前に出ている真ん中の前歯があることで、お口が閉じにくくなって
いるような感じだと言うこと。
 
 
なぜお口が閉じにくくなっているのかが分かるのかと言うと、それは唇の形です。
 
 
力を抜いてリラックスしている時の唇の形が閉じていないのです。
 
 
そこで、患者さんに聞いてみました。
 
「もしかして・・・お口が閉じにくくて、お口で息していませんか??それと、前歯の裏を舌で
押す癖はありませんか?」
 
そうしましたら、患者さんはハッとビックリしてこう言いました。
 
 
「どうして分かったんですか??引っ込んでいる2番目の前歯が前に出て欲しくて、舌で押して
いたのです。確かにお口が閉じにくくて、口で呼吸しているかもしれないです。」
 
 
 
うわー!大当たりでした!
 
 
舌で前歯を押していたために、前歯が前に出てしまって、それでお口を閉じるのが難しくなって、
ついついお口で息をするようになってしまったのですね。
 
 
そのために、本来なら磨き残しが少ないはずの上の前歯にプラークが付着して、歯肉炎になってしまった・・・・
何気ない毎日の癖が、実はお口の健康に大きく関わっていたのです。
 
 
もちろん、プラークが付着しているということは、歯肉炎だけでなく虫歯のリスクも高まります。
現に、プラークが付着していた前歯の表面のエナメル質は唾液の再石灰化作用を受けることができ
なかったために、ツヤが無くなっていました。
 
 
とっても悲しいですね。
 
 
普段、無意識に行っている癖・・・・もしかしたら貴女にもあるかもしれません。
 
お口を閉じること。そして舌で歯の裏を押さないこと。
 
 
お心当たりのある方は、ちょっとだけ意識して過ごしてみてくださいね。