医者さん事典vol.176〜やっぱり侮れない!唾液のチカラ〜虫歯と唾液の深い関係〜
 
 
先日、『虫歯予防に唾液のチカラは侮れない!』ということを実感する出来事がありました。
 
 
唾液は唾液腺という組織から作られています。
 
 
そのうち一番大きくて奥歯のほっぺたの横から唾液を出している組織が『耳下腺』です。
 
 
おたふく風邪に罹って腫れるのがこの耳下腺といえば、イメージしやすいでしょうか。
 
 
この左右対称にある耳下腺のうち、ご病気のために片方だけを摘出してしまった患者さんがいらっしゃいました。
 
 
他の唾液腺は問題が無いので、お口の中の状態を見る限りでは、極端にお口の中が乾燥して唾液が少ないと思うほどではありません。
しかし、初めていらっしゃった時から、唾液腺を摘出した側の方が虫歯になっている歯が多く、虫歯のリスクが高いということが顕著に現れていました。
 
 
ただ、来院当初はまだ毎日のケアを上手にできていませんでしたし、ある程度は仕方がないことなのかなと思っておりました。
 
 
そこで、虫歯の治療だけでなく毎日のケアについてもしっかりと指導をして、数ヶ月前に一度治療は終了いたしました。
 
 
その後、メインテナンスにいらっしゃっていたのですが、先日いらした時に治療をしたはずの歯に虫歯ができていたのを見つけたのです。
 
治療してから、まだ1年も経っていません。
 
 
同時期に治療した反対側の奥歯は問題ないのに、唾液腺を摘出した側の奥歯には虫歯ができてしまっている・・・・。
正直、ここまで顕著に違いが出るとは思っていなかったので、かなりショックでした。
 
 
以前、歯医者さん事典vol.41でもお話しましたが、唾液の持つチカラの大きさを改めて実感しました。
 
 
と同時に何とか、この悪循環を断ち切りたいとの思いが湧きました。
 
 
今後やっていくこととしては、基本的な毎日のケアの徹底やキシリトールガムの摂取や長時間作用するようなうがい薬の使用です。
それと・・食事記録もとる必要があると考えています。
 
 
かなり前にお菓子職人の方を診療したことがあるのですが、この方も治しても治しても虫歯になっていました。
 
やはり、虫歯菌にエサを与えないことがとても大事なのだと思います。
お口のケアをしてうがい薬で殺菌したり、キシリトールガムを摂取したとしても、物理的に何度もお口の中にお砂糖が入って来る環境では何の意味もありませんから。
 
 
今後、どのような結果がでるかはまだ分かりませんが、がんばって通院してくださっている患者さんのためにも、出来る限りのことをやって行きたいと思っています。