歯医者さん事典vol.188〜奥歯が無いのはホントに危険!〜前歯が壊れます〜
いきなり衝撃的なタイトルからの始まりですが、本当に皆さんにお伝えしたいことですので
どうぞ御理解下さいね。
先日、奥歯で噛むことが出来なくなってしまったために、前歯が壊れた患者さんが来院されました。
この患者さんの様なパターンで来院される方は以外と多いのです!!
多くの患者さんは前歯に何か問題が起こると、やっぱり見た目に関わるのですぐに来院されます。
使いたくないな~と思われがちな入れ歯も、さすがに前歯が入れ歯になると使っている方が多いです。
ところが、奥歯になると違います。
奥歯が無くなったとしても、前歯ほど見た目に影響は無いので、ついつい使わずに過ごしている方が結構いらっしゃいます。
ところが・・・奥歯が無い状態でずっと過ごしていると、知らないうちに恐ろしいことが起きて来ます。本来ならば、食いしばったり噛んだりした時にかかる力は奥歯が負担しますので、前歯に無理な力がかかることはありません。
模型で見てみましょう
ところが、奥歯が無くなって前歯しか残っていない場合は、下の写真のように奥歯で負担するはずの力を前歯で受け止めます。
ここで歯の根の形を見てみましょう。(下の写真をご覧下さいね)
奥歯の根は力を受け止めるために、短くて太い根が2~3本あります。
それに比べて、前歯の根は長くて細く、歯の根も1本しかありません。
前歯はその形からも分かるように、力を受け止める役割を担うものでは無いんです。
そのため、写真Bのように奥歯が無くなって、前歯に力がかかるようになってしまうと、当然前歯に無理な力がかかって来てしまいます。
無理な力かかると何が起こるかというと・・・
①歯周病が進んでいる場合には前歯がどんどん揺れてくる。
②虫歯が進んでいて穴があいているような時は、歯が折れたり欠けたりする。
③前歯の被せ物が壊れたり外れたりする。
④神経の無い歯の場合には、歯の根が折れてしまったりすることもある。
などなど、様々な怖いことが起こる可能性があるんです。
今回いらっしゃった患者さんは、歯の根の治療の途中で中断して、奥歯の入れ歯を使わずに過ごしていたために、その治療途中だった歯が折れてしまいました。
幸い、歯の根は無事だったので、何とか残そうと頑張っているところですが、かなり厳しい状況です。
患者さんを通じて、また改めて奥歯で噛み合わせがあることの大切さを実感しました。
「奥歯で目立たないからいいかな」と放置してしまうと、実際はじわじわと怖いことが起きている可能性があります。
ドキッとした方、意外と多いのではないでしょうか?
手遅れになる前に!
お心当たりのある方は、ぜひ歯医者さんで相談してみてくださいね。