~その5:乳歯の場合~
 
 
さて、前回の記事をお読みくださった方から
「乳歯が虫歯になった場合も、早目に治療した方が良いのでしょうか?」
という、ご質問を頂戴しました。
 
私自身、このご質問をお受けして「なるほど!!」と思った次第です。
 
乳歯というのは、いずれ抜けて永久歯に生え変わる為に、本人が痛がって
いなければ治療をしなくてもいいのでは?と思ってらっしゃるお母さまが
案外多いのかもしれません。
 
結論から申し上げますと、「乳歯が虫歯になった場合も、もちろん早く治療
をすべき」です。
 
歯を失って起こることは、永久歯も乳歯も同様なのです。
 
まだ生え変わり時期になっていない時に、奥歯に虫歯ができてしまい
歯に穴があいたり、被せものがはずれてしまったのを放置してしまうと、
前回までにお話しさせていただいたことと同様に「歯が動いてしまう」
のです。
 
もしも、乳歯が酷い虫歯になり、早い時期に歯を失ってしまっていたのを
放置していたら・・・
 
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Aのイラストの様に、歯と歯の間に十分なスペースがあると、永久歯は
スムーズに生えてくることができます。
しかしながら、Bのイラストの様に、歯と歯の間のスペースが狭くなって
(抜けた歯の隣にあった歯が動いてしまった為)しまうと、永久歯がスムー
ズに生えてくることができなくなってしまいます。
 
狭いスペースに遭遇してしまったこの永久歯はどの場所に向って生えて
いくのかは、イラストを見ていただくと想像はできますね。
 
永久歯は、本来収まるべきスペースが無いとわかると、歯の並ぶ列(歯列)
からずれて、頬側や舌側へはみ出た位置に自分の居場所を求めます。
 
この様なイメージです。
 
201502282
 
十分なスペースがあったのなら、本来はAの様にきちんと歯の列に収まる
永久歯が、収まるスペースが無いがために、Bの様に歯の列からはみ出し
て生えてきてしまうのです。
 
これは、抜けそうになってグラグラしている乳歯の場合も同じです。
永久歯が生えてこようとしているのに、乳歯が邪魔をしているために歯の
列からはみ出た場所に生えてこようとすのです。
 
こうなってしまうと、歯並びが悪くなるリスクも高くなってしまいます。
 
歯並びに関しては遺伝的要素も含まれますので、前述したことが一概に
その原因とは断定はできませんが、乳歯と永久歯の生え変わりが比較的
スムーズに行われていたら、綺麗な歯並びになる確率は高いと言えます。
 
乳歯の虫歯を放置し続けてしまうと、新しく生えてくる永久歯の歯並びが
悪くなってしまうことは起こりうることなので、十分に気をつけなければい
けません。
 
健全な歯列(歯並び)は、顎の発育と調和によって得られます。
 
乳歯の頃から奥歯が虫歯になり、食事に支障が出たり硬いものを噛む事が
できなかったりすると、当然ながらに顎の発達にも良い影響はありません。
 
顎の発育が悪いと、歯並びが悪くなってしまう原因のひとつにもなるという
ことはイメージしていただけますよね?
 
いずれ抜け落ちてしまう乳歯であっても、やがて生えてくる永久歯の為にも
虫歯ができたら早めに治療をすることはとても大切なことです。
 
痛みのない初期の虫歯でしたら、痛くない治療をすることも可能です。
痛い思いをしなければ、お子さんも歯医者さんを怖がらずに治療をしてくれ
ますし、歯医者さんを嫌いにもなりません。
 
お子さんの歯の健康を守るためにも、日頃のケアが最も大切です!!
虫歯にならないようにきちんとお母様がチェックし、定期的に歯医者さんで
のメインテナンスをしてあげて欲しいと、心から思います。