「歯磨きをしたり、デンタルフロスを使うと歯肉から出血するので、怖くなって止めてしまい
ました」と、来院される患者さんからしばしば聞くことがあります。
 
これは、実は「歯肉炎」の状態なのです。
 
今日は、その歯肉炎についてお話して参ります。
 
健康な歯肉は、歯ブラシやデンタルフロスで出血することはありません。
 
出血してしまうということは、出血する部分にプラーク(細菌)が着いてしまい、歯肉に悪さ
をしているということです。
 
イラストで説明しますと
 
20150516
 
上のイラストのAが健康な歯肉、Bが歯肉炎をおこしてる歯肉と思ってください。
 
Aの矢印で示したところにプラークが溜まってくると、歯肉に炎症が起き、Bの様に点線の位置
にあったはずの歯肉が赤く腫れてしまいます。
 
健康な歯肉というのは、Aの様に薄いピンク色で引き締まっています。
しかし、歯肉炎になってしまった歯肉は、Bの様に赤く腫れぼったくなるのが特徴です。
 
Aの様に健康な歯肉の場合には、矢印で示した所にデンタルフロスを使用しても出血することは
ありません。
 
歯磨きをするときに大切なことは、Bのところに描いてあるプラークを取り除くこと。
イラストのに描かれている様に、腫れてしまっている歯肉に歯ブラシを毛先を当てたり、デンタ
ルフロスでプラークを取り除こうとすると、すぐに出血を起こします。
 
この出血が怖くなってしまい、歯磨きやデンタルフロスを使用を止めてしまう方が非常に多いの
ですが、止めてしまうと治るどころか、汚れはますます溜まって歯肉炎が悪化し、「歯周病」に
なってしまいますので要注意です!!
 
歯肉炎は、炎症の範囲が歯肉という部分に限定されますので、プラークさえきちんと取り除く
ことができれば改善することが可能です。
 
今日から1週間、まず歯ブラシの毛先の当て方に意識して、デンタルフロスで歯と歯肉の境目の
プラークを取り除くことを根気良く続けていくと、ちゃんと歯肉は引き締まり出血も治まって
きます。どうか1週間続けてみて下さい。その効果はちゃんと現れますので。
 
細かな汚れや、歯ブラシでは取り除くことができないところは歯医者さんできちんとケア・・・
なのですが、どんなに歯医者さんでケアしたとしても、ご自身での日頃のケアを怠ってしまう
と治るものも治りませんので、そこは肝に銘じてくださいね。
 
極論かもしれませんが、毎月定期的に歯医者さんでのケアをしているけれど、それ以外の日は
まったく歯磨きをしない人と、歯医者さんへは1年に1回位の来院しかしないけれど、毎日しっか
りと歯磨きをしている人とでは、後者の方が歯肉炎になったとしても進行はしないと思います。
 
それほど、毎日のご自分でのケアは大切であるということです。
 
糖尿病の患者さんが食事療法や運動療法で、最低限自身でできるケアを遂行することに似ている
かもしてません。
 
治療の主役はあくまでも患者さんご自身です。
 
私たちは、患者さんの毎日のケアの効果が最大限になるように、ご自宅でのケア方法をサポート
していきたいと思っています。
 
歯肉からの出血が気になっている方は、是非とも今日からデンタルフロスを使用してみて下さい。
 
歯肉からの出血を改善するためのケアやコツについても、歯医者さん事典でご紹介していく予定
ですので、お読みいただけると幸いです。