前回は、歯石には2つの種類に分けられるというお話をしました。
今日は前回の歯医者さん事典vol.29で説明した2つの歯石のうち、歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)について説明します。
 
縁上歯石は前回説明したように、歯と歯肉の境目よりも上の部分に付いた歯石のことを言います。
 
歯と歯肉の境目に沿って付着しますので、患者さんも自分の目で見て確認することができます。
下の前歯の裏側に歯石が付いているのを見たことがある方もいらっしゃるのではないかと思いますので、今日は下の前歯のイラストを描いて説明しますね。
 
まずは歯石がついていない状態
 
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この状態からどのように歯石になって行くのか?について説明します。
 
歯と歯肉の境目に溜まっているプラークを清掃しないで放置してしまうと、唾液中に含まれているカルシウム等がプラークに付着して硬くなってしまいます。
 
イラストにするとこんな感じです
 
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黄色で描いたように歯と歯肉の境目に沿って、プラークが硬くなり歯石になっていきます。
イラストからなんとなくイメージはしていただけましたか?
 
歯石の表面は歯のエナメル質よりもザラザラしていますから、ひとたび歯石が付いてしまうと、ご自分の歯の表面よりもさらにプラークが付着しやすくなってしまいます。
 
この時点で歯医者さんにも行かずにさらに放置すると・・・
 
プラークを放置する→プラークが硬くなって歯石になる→ザラザラした歯石にさらにプラークがつく→そのプラークが硬くなってさらに歯石が大きくなる・・・という悪循環になってしまい、下のイラストのように、歯と歯の間の歯肉の上にも歯石が付いて、歯肉の境目全体を歯石で覆ってしまうようになってしまいます。
 
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歯医者さんで歯石を取ってもらったら、下の前歯の裏の舌触りが変わった!という経験はありませんか?
 
上のイラストのようにべったりと歯石がついていると、舌で触ると歯の1本1本がつながったように感じます。
この状態から歯石を取り除いて清掃すると、ツルツルすると同時に、歯の1本1本を舌で感じることができるようになります。
 
場合によっては、スカスカと空気が抜けるように感じることも・・
 
当然のことながら、歯石に覆われていた歯肉は腫れていて、出血しやすい状態(つまり歯肉炎)になっています。
 
歯石はご自分の歯ブラシやフロスで落とすことができないので、硬い歯石になる前のプラーク(歯垢)の時点で清掃していくことが、とっても大切です。
特に、下の前歯の裏側と上の奥歯のところには、唾液の出る穴があり、プラークが硬くなりやすい場所なので、時々鏡でチェックする習慣をつけましょう。
 
白いセメントのカスのようなものが歯と歯の隙間や歯肉の境目に付いてるいるのが目で確認できたのなら、早めに歯医者さんで歯石除去をするように心がけてください。
 
次回は縁下歯石(えんかしせき)について説明していきますね。