子どものころは虫歯になると、すぐに歯が痛くなったけれど、大人になったら気づかないうちに大きな虫歯ができていて、ビックリした!!
 
そんな経験がある方、多いのではないでしょうか?
 
そうなんです。 生えたばかりの永久歯の方が、虫歯になりやすくて痛みを感じやすいのです。
今回はその理由についてお話しますね。
 
生えたばかりの永久歯は幼若永久歯といいます。
 
成熟した永久歯と比べてみると・・・下のイラストをご覧ください。
 
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左が成熟した永久歯、右が幼若永久歯です。 象牙質の厚みが薄くて、歯髄が大きいのが分かると思います。
 
幼若永久歯はエナメル質も象牙質も未成熟で柔らかく、ひとたび虫歯になってしまうと進行が早いです。
 
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進行が早い上に象牙質の厚みが薄いので、成熟した永久歯では歯髄に達しない大きさの虫歯であったとしても、上のイラストのように幼若永久歯では簡単に歯髄に達してしまいます。
 
子どもの頃、虫歯になったらすぐに痛みを感じていたのは、そのためなのです。
柔らかい歯質は唾液中のカルシウムやリン等のミネラルを吸収することによって硬くなります。
 
この大切な時期に間食をしてしまったらどうなるのか・・・。
 
柔らかい歯質なので、すぐに穴があいてしまいますし、硬くなるために吸収しなければならないはずのミネラルを吸収することができないので、歯質が弱くなってしまいます。
つまり、虫歯になりやすい永久歯になってしまうということです。
 
象牙質の壁も外界の刺激から防御しようとして少しずつ厚くなり、歯の根も時間をかけて完成していきます。
 
もし、歯の根が完成する前に虫歯が歯髄にまで進行してしまって、神経を取ってしまったら 悲しいことに、歯の根の成長もその時点で止まってしまいます。
 
当然、神経が無くなってしまうので、象牙質もそれ以上厚みを増すことは出来なくなってしまいます。
 
神経をとった歯が脆くなるというお話を歯医者さん事典vol.16でもお話しましたが、象牙質の壁が薄い状態で神経を失った場合にはそのリスクはさらに大きくなってしまうのです。
 
乳歯から永久歯への生え変わりの時期が虫歯予防にとても大切な時期と言われているのは、こういう背景があるからなのです。
と同時に、永久歯になってからの虫歯も要注意!です。
 
ご自分の歯を鏡で見て明らかに黒くなっているところを見つけたら、もしかしたらそれはかなり大きな虫歯になっているかもしれません。
心当たりのある方は・・・ぜひお近くの歯医者さんで早めにチェックしてもらってくださいね。
 
そして、小さなお子さまがいる方は、歯を作る大事な時期の食生活に充分気をつけてあげてくださいね。