歯医者さん事典vol.200〜奥歯と前歯、役割が違います〜
 
 
先日、また奥歯で噛めない状態のまま長期間過ごしてしまった患者さんがいらっしゃいました。
 
 
奥歯で噛めないので、残っている前歯で一生懸命お食事をなさっていたようです。
 
 
その結果、何が起こったかと言うと。
 
 
本来奥歯が支えるはずの力を、小さくて華奢な前歯が頑張っていたために、前歯が
壊れてしまいました(涙
 
 
これは、全然珍しいことではないんです。
 
 
むしろ、しばしば遭遇する出来事です。
 
 
最も頻度が高いのが、下の前歯が上の前歯を突き上げることによって起こる上の
前歯の被せ物のトラブル。
 
 
具体的には以下のようなことが起こることが多いです。
①上の前歯に入っていたブリッジが外れてしまった。
②上の前歯の被せ物が外れてしまった。
③上の前歯のブリッジを支えていた歯の根が折れてしまった。
④上の前歯の被せ物の歯の根が折れてしまった。
 
 
特に要注意!なのは、夜寝ている間に歯ぎしりをしてしまう方。
 
 
無意識なので、普通ではあり得ないほどの力がかかっています。
 
 
奥歯がある方でも、歯ぎしりをする方はご自分の歯にかなりの負担がかかっている
のですが、奥歯が無くなってしまうと、その奥歯で受け止めるはずの大きな力が
モロに前歯にかかって来ます。
 
 
そうすると・・・その力は歯を壊す力として働いてしまいます。
 
 
歯ぎしりをしていない人であっても、長期間奥歯が無い状態で過ごしてしまったら、
噛んだ時の力が蓄積して、歯ぎしりしているのと同じくらいのダメージになってしまいます。
 
 
怖いですね!
 
 
奥歯が数本無くなっただけで、今の生活に特に困らなかったとしても!
 
 
今あるご自分の歯を守るために、ぜひ奥歯で噛めるようにしていってほしいなあって思います。
 
 
意外と見落としがちなのが、右側は無いけど左側は上下の奥歯が揃っていて、何でも
噛めるよ!という方。
 
 
こういう方がずっと何もせずに過ごしていると、右側のお仕事を左側でも負担することに
なるので、十中八九、左側の奥歯が悪くなってしまいます。
 
 
お口の中も、やっぱりバランスが大切なのです。
 
 
お心当たりのある方は、あまり気が進まないかもしれませんが、手遅れになる前に、
歯医者さんに行ってみてくださいね。